コラム【日本語検定とコミュニケーション能力】

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日本語検定とコミュニケーション能力

 金口裕也(かなくちゆうや)


 

外国人の採用や人材紹介をするにあたり、多くの外国人の面接を経験してきました。日本語検定についてはN1~N5というレベルがありますが、これを募集要項に厳格に定めると実は良い人材を見逃しているのではないかと感じます。今回は日本語検定とコミュニケーション力の違いについて書いてみます。

 

N1レベルが本当に優秀か?

よく企業の募集要項を見ると日本語検定N1に限るという募集要項を見ます。確かに彼らはもの凄く勉強をしていますし、意思疎通の語学力については高いレベルを有します。しかし、問題は総合的なアウトプット能力。ある人材系会社の調査によると企業が外国人の採用目的の項目は以下の順位となっており、語学というよりアウトプットの要素に期待を寄せていることがわかります。

1.優秀な人材を確保するため

2.語学力が必要な業務を行うため

3.海外の取引先に関する業務を行うため

4.外国人としての感性・国際感覚等の、強みを発揮してもらうため

 

2に関しては確かに語学力が業務遂行の大きなウエイトを占めます。但し、1.3.4については語学力よりもっと大事な要素を求められている印象を受けます。当社の外国人従業員も入社の際、N1を保持している人は稀で、多くはN2かN3です。N1を持っていても多くは不合格にしてきました。語学力は後でもついてきますが、ヘッドワークや素地の優秀さはなかなかその後に伸びを期待できるものではありません。如何に採用の時点で能力面において光るものを持っているかが要点になります。

 

間口を広げる

N1で区切ってしまうと、良い人物が採用できる確率はグーンと狭まります。

日本語能力試験公式サイトによると令和元年のN1の認定者は34,235人に対してN2は59,160人となっており、N1に対してN2が2倍弱存在しています。

https://www.jlpt.jp/statistics/archive/201901.html

この中にはぎりぎりN1を不合格になったレベルがおり、逆にぎりぎり合格になったレベルもいます。もし貴社がN1レベルを求めているとしても、致命的な差があるわけでもないN2まで間口を広げると母集団は倍になるわけです。無論、語学力は日本語だけを求めているはずではないので、英語力や母国語を加味すると総合力の高いN2レベルが存在することも事実です。間口を広げることにより、成功確率を高める事が重要かと思いますし、時間がなければ間口を広げて人材紹介会社にしっかりしたスクーリングを求める事をおススメします。

 

コミュニケーション能力は面接等で判断する

私は中国語がある程度話せますが、中国で従業員への伝達や取引先の企業との交渉等については、語学力よりも機転の利く人物を通訳者にしています。日本語を中国語で通訳してもらっているときに『???そういうニュアンスではない』という事がよくあります。例え、あまり日本語の会話がうまくなくても、現地の人に中国語で伝えるニュアンスが『その通り!』とバッチリ来る通訳者の方が交渉の成功率や意思疎通が早いです。こういった伝える力は語学力ではなく、言葉と伝えたいことを如何に咀嚼し、ニュアンスも含め的確に言葉を選び伝える能力が必要になります。そういった能力は日本語検定試験の保有レベルではわかりません。面接もしくはインターンシップで判断しなければなりません。

私達が紹介する日本語人材は主にN2以上の人材ですが、N3でも優秀だと感じれば、思い切って企業様に紹介させて頂いております。実際、インターンシップでその能力評価を頂いている事も事実です。募集の段階であまり厳しく条件を絞り過ぎると機会損失を起こしている可能性はあります。

 

 

 

執筆者: 金口裕也(かなくち ゆうや)

株式会社マリモホールディングス 国際人事部 部長
 

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